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2018-06-05

文明通信2018年6月号

文明通信2018年6月号表
文明通信2018年6月号裏

「タメグチ」

先月の文明通信(特に裏面?)の反響が予想外に大きく(当社比)、多方面から面白かった(可笑しかった)と言っていただけましたので、引き続き開業直前にした肉体労働バイトの話をします。バイト中、私が現場の清掃責任者と二人でいた時のことでした。
左官屋さん(だったと思う)が凄い剣幕でこっちに向かって怒鳴ってきました。
確か既に清掃されてるはずの場所にいろんなものが散乱していて作業が出来ない、といった内容で、怒るのもごもっとも的な理由だったと記憶しています。
その時に私と一緒にいた清掃責任者が放った言葉は、なんと、笑みを浮かべながらの「ゴメンね~」でした。そう、思いっきりの「タメグチ」でした。「うわ!この人、終わった・・・」と思った私はハラハラしながら相手を見ると、左官屋さんは「早く片付けてくんねぇとメシも食えねぇじゃねぇかよ」と言いつつどことなく半笑いで、清掃責任者は「この後すぐ行くね~」となんだかやはりにこやかに対応しているのを見てビックリしたことがあります。ふざけてるわけでもなく、このような光景は現場のそこかしこで見受けられました。現場の全ての中でも言わば最下層の役回りだった私は、バイトが終わったその足で「珈琲文明様店舗建設予定地」に来て、今度はそれこそ最上級層である「施主」という立場で職人さんと時間を共にし、同じ一日の振れ幅はとても興味深いものがありました。
「施主編」で私が珈琲文明店舗予定地に来て、厨房機器のサービスマンと話をしている時に、職人さんがその人に対して少し怒った口調で何か言った時、そのサービスマンは震えあがっていましたが、その時は「いやいや、職人さんは今実はそんなに怒ってないから心配しなくていいよ」と心の中で思ったほどに私は現場の世界に馴染んでいました(笑)。日中の「最下層編」でのウォッチングのおかげで「施主編」での現場のコミュニケーションも円滑に進んだのでやはりとても有益な経験だったと思いますし、さらにこの業界における「タメグチ文化」(!?)というのもかなり新鮮でした。子供の頃から長く体育会系で育ってきた私は、身内以外で歳が一つでも上の人であればまず例外なく敬語を使い、それはかなり親しくなっても変わることはありません。
さらにお店のお客さんに対しては相手が仮に中高校生であっても敬語で対応します。
ところが例外的に年下のお客さんに対して私が「タメグチ」で話す相手も数人います。
「飲食店主がタメグチで話す全国平均値(どんな平均値だ!?)」で考えると私の場合極端にタメグチ頻度は少ないほうですが、そんな中で私がタメグチで話す相手(しかもお店以前からの友人知人の後輩というわけではなく、純然たるお店を介して知り合った年下のお客さん)というのは、私自身が物凄~く心を開いた相手ということになります。いや、こういうと敬語で接してる年下の人には心を開いてないのか?ということになりますので、より正確なことを言うと、結局私は人見知りだということに尽きます。接客業には極めて向かない人見知りの店主を今後ともどうぞよろしくお願いします。

珈琲文明人見知り店主 赤澤 智

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