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2023-11-06

文明通信2023年11月号

「世界一わかりやすい原産国による味の違い」

拙著「世界一わかりやすい珈琲の本」が突然売り切れました・・・。
お客さんに「これはまだ在庫ありますか?」と訊かれ「凄いたくさんあります!」と勇んで言って「空の上(珈琲文明の天井裏のことです)」に取りに行ったところただの一冊もなくなっていて自身の「在庫管理能力」の低さに愕然としました。今後更なる重版(まさかの3刷り!)を予定してはいますが確定ではありませんのでそれまでは店内に3冊だけある「店内閲覧用」と書かれているものをぜひご覧になっていただけたらと思います。
さて、その「世界一~」の中でやむなく割愛したテーマとして「原産国による風味特性の違い」というのがありました。今回はここでそれを述べてみたいと思います。
私が「コーヒー講座」をやったり誰かにコーヒーのことを説明したりする時に常に頭にあるのは「コーヒーなんてもんは難しいことじゃなく、淹れる際に必要なのは豆とお湯だけ。こんなシンプル極まりないものに技術も蘊蓄も能書きも必要ない」ということです。
わざわざ話を難しくしたり屁理屈をこねくり回すようなことをしたくないといつも思っています。
さて、そこで「原産国による味の違い」であります。まず皆さんがよくコーヒー豆屋さんやスーパーなどで市販のレギュラーコーヒーを購入する際に各国銘柄ごとの説明を読んでわかったようなわかんないような気になっていると思います。
「チョコレートのような」「フルーティな」「コクと酸味」などです。また「キリマンジャロやモカは酸味が強い」や「マンデリンは苦い」などの刷り込みも未だ根強かったりします。
各国ごとの風味特性を細かく説明していくよりも今回ここでは究極の3通りの風味として極論してみたいと思います。
そもそもコーヒー豆というのは焙煎度合で浅ければフルーティで深ければチョコレートっぽくなるのです(基本的には全ての国銘柄が、です)。
ですからまずしっかりとニュートラルな見地からのジャッジが必要になるのです。
というわけでここでは「全ての銘柄が同じ焙煎度合、しかも中煎り(ミディアム)以下」という前提のもとお話します(※スペシャルティコーヒー界のカッピング時の焙煎度合はビックリするくらいに浅煎りで行なわれます)。
国は①「ブラジル」②「アフリカ」③「その他」の3つだけ覚えてください。
① ブラジル・・・ナッツ系
② アフリカ・・・花、もしくはフルーツの場合ベリー系
③ その他・・・フルーツ(柑橘系)
もうこれ以上ザックリ分けられない究極の3通りがこれです。異論上等です。
「ブラジル」だけ1つの国で「アフリカ」は大陸だしその他にいたっては中米や南米(ブラジル以外のコロンビア、ペルーなど)そしてインドネシア等のアジア圏も含みます。
「ん?インドネシアがフルーティ?」と思うかもしれませんが中煎りのマンデリンはパッションオレンジのような風味特性があります。
細かい話やもっと知りたい人は各自調べるなり私のコーヒー講座(来年はもう少し頻繁にやっていこうと思っています)に参加するなりして、なにはともあれこの究極の3パターンだけまずは頭に入れておき、例えば「ケニア」ならアフリカですからまずは華やかな芳香と捉え、もう少し深く掘り下げるなら「ラズベリーっぽいかな?」であるとか、「ホンジュラス(中米)」なら「その他」ですから「フルーティ(柑橘系)」でもう少し追求したいなら「トロピカルフルーツっぽい」など感じてみると良いかもしれません。

赤澤珈琲研究所 所長 赤澤 智

レポ~樋口了一初俳優&主演映画「いまダンスをするのは誰だ?」観て来た!~

※感想純度の高さを保つために鑑賞直後のブログをそのまま転載します。
自分にとって極めて近しい間柄にある人が主演の映画ってどんな感じなんだろう。
「わっ、マジで樋口さんが演技してる!」とか「なんか不思議な感じだな」とかきっとなるんだろうなって思ってたけど、見始めたらすっかり「馬場さん(主役柄の名前)」として見てた。つまり樋口さんは演技もかなり上手かったってことでいいよねこれ。
この映画、趣旨からしてどうしても枕に「パーキンソン病」が来てしまうかもしれないが劇中に「【I am パーキンソン病】じゃなく【I have パーキンソン病】なんだ」というセリフが出て来るようにまさに【He has パーキンソン病】として、いやもっと言うと「パーキンソン病」とか全く抜きにして「サラリーマン映画」としても秀逸だった。
(以下ネタバレ大いに含むためまだ観てない人はぜひ実際に観てから読んでね)
「半沢直樹(でいいんだよね?「倍返し」のやつ)」って結局見てないんだけど、企業プロジェクトの中でわかりやすい悪役が出て来て最終的に勧善懲悪的痛快活劇で締めるみたいなストーリーってこれまであったと思うんだけど、この「いまダンスをするのは誰だ?(以下【いまダン】)」は一見そういう系かなと思ってたら登場人物全て根本は善良で(本物の写真家役の人なんて神だろ)、そこに馬場さんが己を全てさらけ出し思いを吐露することで周囲がジワ~っと暖かくなり氷結解凍が始まる・・・。
勧善懲悪モノではなく「痛快」というより「爽快」な気分で本当に晴れやかな気分になれる。
昔、父が「心底やりたいことを成し遂げるにはミテクレとか恰好とか本当にどうでもいいんだよ」と言ったことがありそれをその後自身の信条ともしているんだけど「いまダン」を見たらこの父の言葉を思い出したりした。
また自分の得意分野(馬場さんの場合写真撮影)で局面打開するくだりも身に覚えがあった。
中三で東京に転校してきて周囲と全く馴染めない日々を大きく変えたのは音楽室にあったクラシックギターをポロっと弾いてみた(曲はアリスだったりするけど)ことだったし、35歳になって初めて就職(それまではずっとフリーターだった)した学習塾の会社(社員はほとんどが20代の若者で上司に当たる人も20代だった)で結果左遷された自分は地方の教室で毎月保護者に手書きの「教室通信」を送り続けていたことが課長に知れ、そのことが社長にまで届きやがて全社員にそれが知らされて以降、自分の中でやはり仕事に前向きになれたし、よく言われるところの「自己肯定感」というやつが爆上がりしたのを覚えていて、それが自分の数少ない成功体験の1つとしてその後の行動指針になってくれていると思う。
今回一緒に観に行った小1の娘(劇場内最年少だったはず)にラスト主題歌が流れた時に「これ歌ってるの馬場さんだからな」と言ったら驚いていた。
普段YouTubeを良く観る娘に「パパと馬場さんが二時間くらいず~っと(どうでもいい内容ばっかりだということは言わなかった)話し続けてる動画あるから今度見てみなよ」と言ったらやはり驚いていた。
馬場さんがダンスの先生に「これがやりたいです!」と言った楽曲は結構ブラコンっぽくて実は大学時代に樋口さんが散々やってきたジャンルでもあり軽音関係各位にとってはニヤリとしたところでもある。
そう、馬場さんがカーラジオつけたら「1/6の夢旅人2002」が流れて「どうらー(水曜どうでしょうファン)」がニヤリとしたように・・・。
個人的には樋口さんが結構前から掲げてたキラーフレーズ「諦めることを諦める」が満を持して登場したことにニヤリとした。
「いまダンスをするのは誰だ?」池袋シネマロサにて上映延長決定しましたので、ぜひご覧ください。

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