文明通信2022年12月号
「「どれくらい(何分くらい)時間がかかるか?」という質問は・・・」
当店では特に土日の混雑ピーク時になると「混雑札」というものを出し、そこには「只今、大変混雑しており、お出しするまでかなりのお時間をいただいております」と記しておりまして口頭でも同じことを言うと、「だいたいどれくらいですか?」という質問を多く受けてきました。もし私がどこかの飲食店に入ろうとして同じ状況下にあった場合「だいたい何分くらいなんだろう?」と思ったりもするのでその気持ちは非常によくわかります。
概算はもちろん出来ます。少なくともこのお店のオペレーション下に限っては私が世界で一番近い数値は出せる(はず)です。
店内誰もいなくてオーダー待ちゼロの場合、コーヒー1杯出す(豆を量る、挽く、淹れる、提供する)までの一連の工程で約4分かかります。
では5人来たら20分かと言いますと作業の同時進行等も可能であるためもっと短縮は出来ますが、それなりにまぁまぁ正確な時間を言うことは可能です。
しかし過去にこのようなことがありました。
お客様に「何分くらいかかる?」と訊かれた私は「○○分くらいです」と答えたのですが、その時、他のお客様がシュガーポットを床に倒し、清掃している最中に宅配便が来てその後問い合わせの電話も鳴る、というワンオペクライシス(!?)が同時に起こり、そのお客様に申告した時間をオーバーしてしまいました。
するとそのお客様はコーヒーが出来てあとは運ぶだけというところで「時間が過ぎた」とのことで退店されてしまいました。
もう1つこんなこともありました。
外には既に「混雑札」を出して、それでもさらに続々とお客様が入店してくると私は段階別に①混雑札のみで口頭では無し②「只今かなりお時間いただいております」③「只今物凄くお時間かかりますのでお急ぎの場合はおすすめしません」④「只今メッチャクチャ時間がかかるのでやめておいたほうがいいです」というように台詞も変えることにしていました。
店内には①の人がいてその人はおそらく急いでいたのでしょう、その後の段階別の私の言葉を聞いて、「どうして私が注文した時に他の人に言ってるように時間かかるって言ってくれなかったの?」と言い残し帰ってしまいました(同じように既にコーヒーが出来てあとは運んでいくだけの状態の時で、いずれもお支払いはありませんでした)。
これら2つの例で私がとにかく思ったのが「この退店された人の後に入って来た人はこの退店された人がいた分余計に待つことになったわけでしかもこの人たちは何も言わず待ってくださっていてその人たちにとにかく申し訳ない」ということであります。
さらにこの退店された人が店内にいた時に満席となり来店を断った人にも申し訳ない気持ちになりました。
それから仮に「混雑札」を出していてもダメ押しのように口頭でもお伝えするようにしました。そして「だいたいどれくらい?」と訊かれると「お時間の約束はできませんのでオススメはしません」と(やや食い気味で)返答することにしてきました。
でもある時気づいたのです。
混雑及びかなりの時間を要することも納得し既に着席してくださっているお客さまの耳に次から次へとお客様が来店される度にこのセリフが入ってしまいそれはただの騒音でしかなく居心地も良くないだろうなぁと思いました。
このような経緯を経て、この度以下のような文言を「混雑札」に加えました。
なんだか物々しくて申し訳ありませんがよろしくお願いします。
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「どれくらい何分くらい時間がかかるか?」という質問はご遠慮ください(非常ぉぉ~に気持ちはわかりますが・・・)。
当店ワンオペ営業により予期せぬ事態等起こり得る為、お時間の約束は出来かねますのでお急ぎの方はオススメしません。よろしくお願いします。
珈琲文明
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今年もお世話になりました。また来年も珈琲文明をよろしくお願いいたします。
珈琲文明 店主 赤澤 智