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2014-12-05

文明通信2014年12月号

文明通信2014年12月号表
文明通信2014年12月号裏

「ゼロにもマイナスにもなる最終工程の破壊力」

まずは前置きです。スルーまたは軽く読み飛ばしていただくために小さな文字で書きます。

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コーヒーは、種を撒いて3年目くらいから白い花が咲きます。そして緑色の小さな実となり、花が咲いてから約8ヶ月かけて真っ赤に熟し収穫時期を迎えます。収穫後は脱肉、水洗、乾燥、脱穀、選別などの精選作業が行われたのちに、カップテスト、サイズなどによる等級選別作業を経て麻袋詰めされ港から船で輸出されます。その後輸入されたコーヒー生豆は品質鑑定を受け、各工場へ渡り、カップテストなどのチェックを受け、様々な製品になり、そこから焙煎(ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアンといった焼き加減があります)が行われ・・・

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コーヒーが飲み物となるまでには様々な工程があります。おいしさの公式として、個人的持論は、「生豆本来の品質(70)」×「焙煎技術(29)」×「抽出技術(1)」ということは以前にも述べたことがあります。ここで最も係数の小さい「抽出」及び「最終工程」の部分に光を当ててみたいと思います。最終工程は「1」の他に「ゼロ」さらには「マイナス」も存在します。上記公式が掛け算で成り立っている以上、最後がゼロならばゼロということです。地球の裏側で収穫され、遥かなる旅路を経て来たコーヒー豆のその末路、全てが無に帰すのです。ちなみにここで言う「最終工程」では技術や才能ではない、心がけ如何にかかっていることが多いのです。例えば、豆を挽いたあとにミルの吹き出し口に付着する微粉を取り除くことをせず淹れた場合、豆がせっかく新鮮であっても付着した粉は時間がたって酸化しているかもしれません。また、付着微粉がある程度溜まってからある時、重力に従ってボトッ!と落ちることがあります。これに当たった人はもう悲劇というしかありません・・・。視点を変えて「水(お湯)」の話をしましょう。我が国の水が世界最高水準であることに加え、さらにどこそこの水だ、富士山だ六甲だアルプスだ・・・と、好みはご自身で選ぶと良いと思うのですが、例えば昨今流行している水のレンタルサーバーにしても、また居酒屋におけるビールサーバーにしてもサーバーの口部分の除菌清掃が不十分であれば本来の目的すら叶わないことになります。コーヒー店であればミルがサーバーであり、微粉除去は店側の心がけひとつです。さて、今「水(お湯)」の話になりましたが、コーヒーを淹れる時のお湯を注ぐ時の「やかんの中身」をご覧になったことはあるでしょうか?保温ポットの中身でもそうですが、やかんやポットは洗浄しないとやがては白く石灰化した塊が出来たりします。そのようなやかんやポットのお湯で淹れるコーヒーには意図せずとも不純物が混入することになります。このように、コーヒーミルの吹き出し口やポット(やかん)を清掃洗浄しないお店(しても毎回や毎日ではないお店)がどれだけ世の中に多いか、その実態は・・・、知らないほうが幸せかもしれません(笑)。ただし、当店がそういうお店だと思われるのも不本意なので、当店ホームページ、「マスターの日記」内にて「やかんの中身の写真」を公開しておきましたのでご覧ください。※写真参照(けっして新品のやかんじゃないですよ。3年くらいたってます)このように掛け算の係数はけっして大きくないものの、最後の工程部分というものはそれまでの全てをぶち壊しにする破壊力があります。そして、コーヒーを淹れ終わり、お客様にお出しする時、さらにお客様が帰られる時のまさに最終点でゼロやマイナスにならぬよう、このことはこれからもいつまでも常に肝に銘じておこうと思います。今年もお世話になりました。素敵な年をお迎えください。

珈琲文明 店主 赤澤 智

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