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2014-10-05

文明通信2014年10月号

文明通信2014年10月号表
文明通信2014年10月号裏

「ペーパードリップで安定した味のコーヒーを淹れる方法」

言うまでもなく当店のコーヒー抽出方法はサイフォン式です。しかし世の中、圧倒的にペーパードリップの人が多いのもわかっていますので、今回は異なる流派(笑)であるペーパードリップの「安定した淹れ方」を紹介します。「おいしいかどうか」はその人が決めることなので、あくまでも「安定」というキーワードのもと述べていきますね。まずはじめに有名な「蒸らし」の話から。そもそも何のために蒸らすのか?それは豆には二酸化炭素(以下CO2)が含まれており、CO2はコーヒー粉とお湯の接触を妨げ抽出の邪魔になる「負のバリア」です(※同時に酸化を防いでくれる「正のバリア」とも言えるため悪者扱いしないでください)。そこでこの「負のバリアを取り除く作業」が「蒸らし」だと考えてください。蒸らしの時間は20~30秒で十分です。1分以上蒸らすともはやそれは完全に抽出工程に入っているといえます。新鮮な豆、つまり焙煎直後の豆は大量にCO2を含んでいるため蒸らさずに淹れるととてもぼんやりした味になります。拙著「世界一わかりやすい珈琲の本」でいきなり最初に「おいしい豆はブワ~っと膨らむ」と書いたので混乱させてしまいそうですが、要は「新鮮な豆を使い、余分なCO2を除いて淹れる」ことが大事です。余談になりますが、既に酸化が進んで膨らみもしないコーヒーは蒸らしてる場合じゃないです、というより使用をやめましょう(笑)。さて、次によくポイントに挙がる「お湯の注入」方法、細く?太く?何回に分けて?という話ですが、結論からバッサリいきますよ、それは・・・「ドリッパーからコーヒーが落ちるのと同じ量のお湯を休まずに注入」してください。ここでもう一度強調しておきますが、「安定した味」を出すための説明ですからね。お持ちのドリッパーの穴が一つのものや三つのもの、大きな穴のものではもちろん落ちる速度が変わりますからその速度に合わせて、落ちる量と同じだけ注いでください。より安定する方法としては蒸らしの後に少し多めにお湯を淹れ「湯だまり」を作ってしまいます。その後落ちる速度と同じだけのお湯を注ぎ、目標分量まで落ち切ったならそこで容赦なくドリッパーを外す。以上です。そもそもハンドドリップがサイフォンやフレンチプレスほど安定しないのは「抽出と濾過が同時に進む」からです。そこで今述べた方法で行っていただくと「安定した味」になりやすいということが言いたいのです。もう少し細かい話をしますと、蒸らした後膨らんでお饅頭のようになってる形を壊さぬようお湯はドリッパーの端にかけないようにして注ぐ、等よく言われている話ですがそれはそのとおりです。以上の「手順、工程」を自分の型(というよりドリッパーの型?)にハメて、あとそれが美味しいものになるかどうかは、「淹れ方」ではなく、豆そのものや、挽き方で変えていくようにする。これが最も安定した方法であると私は確信します。

赤澤珈琲研究所代表 赤澤 智

今月の逸品(一品)「外のスペース

シャッターを閉めた時に店と商店街公道との間にスペースが生まれます。開店中はここのスペースに机や置き看板を出しています。もともとはシャッターを巻き込む装置(?)のために生まれた空間で、当初は「このスペースの分店内が狭くなってしまっている」と悲観しておりました。商店街の他のお店と比べても当店のこのスペースはかなり広いほうです。しかし、このスペースのおかげで机を出して、この毎月の「文明通信」もご自由にお取りいただけて、お店に入ってこないと読めない閉鎖的なものにならなかったため、おかげさまで毎月かなりの枚数がハケております。またここ仲見世のような幅の狭い商店街では、看板等の遠くからの可視化よりも人の歩行目線に看板やアピールするものがあるほうが重要となります。と、いうようなことを店舗作成の時に考えたわけではなく、結果論としてこの考えに至っております。もしもシャッター巻き込み装置がもっと小規模なものでここのスペースが縮小出来たならきっと私は店内スペースのほうに割いていたであろうと考えます。有無を言わさない、こちらではいかんともしがたい大きめのシャッター巻き込み装置サマサマといったところです(笑)。

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