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2013-09-05

文明通信2013年9月号

文明通信2013年9月号表
文明通信2013年9月号裏

「一人でカウンターに座る女性のお客様」

よく「女性が一人で入りやすいお店は安心できる」なんて言われます。そこでさらにもう一歩踏み込み、「テーブル席ではなく、カウンターに座る女性のお一人様が多いお店はさらに安心出来るお店に違いない」という考えのもとそれを目指しています。ちょっと前のCMのように、マスターがチャン・グンソクでマッコリを出したり(例えが微妙に古くてスミマセン・笑)、ロマンスグレーのナイスミドルで渋み深み両方を備えた人であったりするならばこの理想は叶いやすいのかもしれませんが、このいずれでもない中途半端な年代の私はとにかく、こちらからは話しかけない(もちろん例外も有り)、凝視しない、乱暴に言うと「放っておく」ということをひたすら心掛けております。「こっちはまったりと読書がしたいのにカウンターに座ったらマスターにいろいろ話しかけられるんじゃないだろうか」という不安はぜひ払拭してください。 基本的にはオーダーをお出しした後、厨房内の私は他の作業をしたり、することがない場合は座ったりして、視界からも消えるように努めております(ゆえにお客さまからすると追加オーダー等を言いづらい状況にはなるかもしれません)。さて、これを言い訳にするつもりはもちろんないのですが、私はお客様の顔をとにかく覚えられないという、接客する人間にとっては致命的な欠点があります。 最近トムクルーズが「病的に人の顔や名前を忘れる」とのことでニュースになっていました。自分をトムクルーズになぞらえるなんておこがましいことはもちろんしませんが、とにかく病的なまでに覚えていなくて、こちらが初めてのお客様のつもりで「サイフォンはご自身で注いでお飲みください」と言っておいて、精算の際にそのお客様は既にポイントカードが30ポイント達成どころか2冊目(汗、、)であったりすることも珍しくありません。いくら「こちらから話しかけない」「凝視しない」「お客様の視界からなるべく消えるようにする」とはいえあまりにも覚えなさ過ぎだと思います。 実は何度もいらしていただいているお客さんに対して、こちらが妙によそよそしいことが多々ありますが、どうか大目に見ていただけたらと思います。

赤澤珈琲研究所 代表 赤澤 智

今月の逸品(一品)「カウンター」

表面でカウンターの話題が出ましたが、ここではまさに当店の「カウンター」そのものをご紹介します。カウンターに座ってくれたからにはテーブル席よりもさらに居心地が良い場所であるべく造作しました。まず何と言っても木材のクオリティが素人の私でもわかるほどです。他の丸テーブルは合板ですが、カウンターは天然の一枚板(L字型のためコーナーのところで切ってますが)で木目も綺麗で質感もやはり合板に比べ柔らかいです。バーカウンターの奥行の一般平均値は45cm~50cmとされており、50cmを超えると途端にゴージャスな感じになってきます。当店のカウンターの奥行は正味で54cm(この4cmの違いが大きいんです)取ってあり、さらに直角に「せり上がり部分」(ここにサイフォンが乗ってます。奥行は20cm)を作ることで厨房側との「壁」が出来、カウンターの奥行合計が74cmになります。ここで店主が座るとお客様の視界からほぼ消えます(笑)。そして厨房内にはサイフォンガステーブルや作業台(下がコールドテーブル)があるため、店主とお客様との距離は合計1.2mに及ぶことになります。この距離がカウンターのお客さんに圧迫感を与えないために重要な要素だと考えております。ところで、ご存じじゃないかたも多いと思うのですが、カウンターの下にあまり大きくはありませんが荷物置きの棚もあります。カウンターの人でも「足が組めるようなスペース」を確保するため、奥のほうに作ってあり、目立たないので、お忘れ物に注意しながらご利用ください。

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