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2013-07-05

文明通信2013年7月号

文明通信2013年7月号表
文明通信2013年7月号裏

「なぜ人を雇わないのか」

これまでに求人広告を出したことも呼びかけたこともないのですが、「アルバイトは募集していないのですか?」という問い合わせ(電話及び直接のご来店)をかなり多くのかたからいただいてきました。このお店で働いてみたいと思ってくださる人がこんなにたくさんいることにビックリすると同時に素直に嬉しく思います。ありがとうございます。特に土日のピーク時(2時~5時頃)に関しましては、どう考えてももう一人スタッフがいたほうが良いこともわかっております。ご不便おかけして申し訳ございません。ではなぜスタッフを雇わず一人だけでやっているのか。これはもともとの「起業理由」を紐解く必要があります。よく会社にいた人が「誰からも指図されたくない、使われたくない」という理由で脱サラして起業したりします。私の中でもこのような考えは無いこともないのですが、どちらかというと、「誰かに指図したくない、人を使いたくない」という気持ちのほうが強いかもしれません。そして、この考えは意外なことではなく、サラリーマンをやっている私の友人(年齢的にも中間管理職が多い)たちに話しますと必要以上に激しく同意されます(笑)。今これをお読みになった世の会社員の方々で大きく頷いた人も多いかと思います。私は前職の学習塾で富士吉田教室の教室長の他に、山梨の他の教室(大月、都留、韮崎、甲府、等)の統括エリアマネージャーも兼任していました。ここであらかじめ強調しておきたいことは、私の教室にいたスタッフ(講師たち)、統括していた他の教室長の人たち、これらの人たちはみんな大変優秀で、人間的にも大好きな人ばかりでした。今でも山梨からはるばるお店に来てくれる人も多く、とりわけ我が教室の講師たち(正社員ではなく、時間給、つまりアルバイト)が未だにわざわざここまで来てくれるのは本当に胸がいっぱいになります。ですから私は部下の扱いに苦痛を感じ、嫌な思い出があるということは一切ないのですが、「発するエネルギーが多岐に及んだ」ということは言えます。「教育業」の最も原始的なかたち、つまり、「生徒を募集」し、「生徒カウンセリング及び保護者との入会面談」ののち、「授業」を行う(講師を雇うのではなく自分が教える)、それによって対価を得る、という流れを本流とすると、本流ではないところにかなり水は流れます。そしてそれを否定はしません。企業や組織とはそういうものです。しかしこうした「本流」のみで、自分自身が物事の全行程を把握し、携わり、責任を持って思い切って取り組むことが出来る世界というものもありました。それが自営業でした。一生涯ずっと一人だけでこのお店を切り盛りするかどうかは別として、現時点ではこういった物事の全行程(ある意味「生産」「加工」「流通(席まで運ぶことですが・・・笑)」「販売」など企業の縮小版といえなくもない?)に自分がからんでいるというスタンスをもう少し味わい尽くしてみようと思っています。

赤澤珈琲研究所 代表 赤澤 智

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