文明通信2015年9月号
「文字、活字を読むのが苦にならない人」
「店主の思いや考え(思想や哲学といった大袈裟なものではありません)」がなるべく正確に伝わっているお客様が多いお店というのは幸せなお店であり、私はそういう意味では頻繁に幸福を味わう機会に恵まれていると感じています。
「思いを伝える」という行為はテレパシーでもない限り、当然「発信」と「受信」の両方の行為が必要となります。
しかし当店は原則「店主はお客様に話しかけない、ほったらかしのお店」です。
ではこのお店の「発信」というものは何なのか?
それは「文字、活字による発信」です。
この文明通信にしてもそうですし、ホームページやブログ等、これでもかっていうくらいに多くの思いや情報を発信しています。
ブログを先にご覧になってから来店されたお客様からは「ブログとかなり印象が違いますね」と何度か言われたことがあり、もう少しこちらが突っ込んで訊くと「熱いタイプでこだわりが強くて怖い感じの人だと思ってたけど、随分おっとりした(話すテンポもゆっくりだし)人でした」という意見が多く、これはどちらが本物うんぬんではなく、なるほどAB型の人間だな、くらいに思っていただけたらと思います。
さて、こちらからの発信が紙面上であれネット上であれ、「文字」によるものがほとんどである以上、それを受信する人というのは「文字、活字を読むのが好きな人、少なくとも苦にならない人」ということになり、そして当店のお客様はそのような人が凄く多いと感じています。例えば今まさにこの文明通信を読んでいる方全てがそうです。
コーヒーが運ばれてくる間、テーブルの上、またはメニューブックの中にあったこの紙切れを手に取って、「わ!何これ、文字がいっぱいでめんどくさい!」と思った人は少なくともここまで読んでいないことでしょう。
今ここまでこの文章を読み進めていただいているお客様(受信者)によりこのお店が支えられていると言っても過言ではないと思っています。
ところで、先に述べた「実際の印象と違う」ということに関してもう一つ加えます。
それは、私は超がつくほどのアナログ人間であるということです。
文字による発信をこれほどまで多くしているわりに、ネットの知識はもちろんメカ全般に弱く、携帯も未だにガラケーです。電脳やデジタルといった言葉とはあまりにもかけ離れている人間です。これはプライベートで昔から私をよく知る人にとってはあまりにも有名で周知の事実ですが、一応この場でもこの情報を「発信」しておきますね。
赤澤珈琲研究所 代表 赤澤 智