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2015-10-05

文明通信2015年10月号

文明通信2015年10月号表
文明通信2015年10月号裏

「祝・百ヶ月」

珈琲文明が出来てから今月で100ヶ月になります。
パッと見長そうですが、まだ8年と4ヶ月です。
しかし個人的には100という数字はこれまでの人生の様々なシーンの中で、
超えるべきハードルとして事あるごとに出現したものでした。
例えば前職である学習塾の生徒の人数は100人を超えるかどうかが最初の大きな壁でした。現在の店舗経営においても、100という数字が重い意味を持つ事柄がいくつもあります。
目標は百年!と言いたいところではありますが、もう少し小さな目標として持っているのが、まず十年ということと、その前にこの「百ヶ月」でした。
すごく実務的な話になりますが、一ヶ月という期間で世の中は動いているものは多いです。
サラリーマンの給料もそうですが、支払う会社側にしても一ヶ月でとりあえず締めます。
自営業である私の場合も、毎月の各種支払いをはじめ、この「文明通信」や第四金曜の弾き語りなども毎月の定例行事のひとつです。
これら一ヶ月ごとに必ず訪れる酸いも甘いも苦も楽も、とにもかくにもクリヤーし、
それを100回繰り返してきたことにはきっと意味はあると信じています。

そして、反復の重要性は感じつつも、これから気をつけていくべきことは「慣れ」が転じて「マンネリ」や「惰性」といった気の緩みであると思っています。
私が9年前に横浜に引っ越して来て初めて出来た友人にこのようなことを言われたことがあります。

「おじゃさん(※私のことです。ちなみに相手のほうが一つ先輩です)はとにかくまず健康で元気でいること。それと店というのは動きを止めてはいけない(前進し続けてこその現状維持であり停滞は退歩である、と私は理解しています)。」

というような内容をもう少し砕けた感じで(普段はかなりふざけた人です)言われ、
あまりにもそれが正しくて、心の中で大きく大きく頷いたのを覚えています(おそらく言った本人はもう忘れているでしょう・笑)。

大いなる反復と、細やかな刷新により店は続いていくと信じ、
また来月から始まる新たな一ヶ月を迎えたいと思います。

珈琲文明 店主 赤澤 智

「第四金曜弾き語りもめでたく第100回」

当店開業から100ヶ月ということは、創業月から毎月開始している「第四金曜日の弾き語り」も今月で第100回ということになります。
生涯これまでのライブ本数がはたしてどれくらいなのか数えたこともなく、
100回の弾き語りと言いましても
さすがに過去35年以上に渡るバンドのライブ本数にはまだまだ遠く及びませんが、
バンドのライブが近年減少する一方で
こちらは毎月必ず行っているということは
いつの日にかバンドのライブ数を上回る日が来るのかもしれません。
さて、この毎月四番目の金曜にやっている弾き語り、
「どんなことをしているの?」
という質問にお答えします。
洋邦問わず自分がイイ!と思った楽曲とオリジナル曲、
時に替え歌、時に朗読も加え、
仮に毎月聴きにいらした場合でも楽しめるように一年を通じて一曲もカブらないように全て曲を変えるようにしています(おかげでいつの間にか膨大なレパートリーになりました)。
とはいえ、これまでに99回行ってきたもののまだまだ認知度は低く、中にはいつも店内でチェロがかかっていることもあり「クラシック」の演奏と思われる方や、
それ以前に「どなたがいらっしゃるんでしょうか?」という質問にも慣れましたし、
弾き語り?無料?じゃ、見て行くか、と入店されて、
私がギターを持ちチューニングをしている時点でもまだ私がローディーか何かでその後誰かが登場すると信じた刹那、
私が演奏し始めた時のあの言葉に出さずとも顔にクッキリと「え?あんたかい!」
という表情が見て取れたことも一度や二度ではありません。
それでもそのような人たちが途中退出OK(というよりお店は閉店しています)の中で最後まで見ていってくれるのはとても嬉しく、
思えば自分が音楽を人前でやるにあたっての最大の醍醐味のひとつが友人知人でも身内でもない、見ず知らずの人たちの前で作品を紹介し
それを喜んでもらうということなので、
こういう時にやってて良かったと切に感じます。

ところで、先に「一年通じて一曲もカブらないようにしている」と述べましたが、早速訂正です。
最後にやる曲だけは必ずいつも同じ曲で終えることにしてきました。
自作の「わるくない」という歌でして、
そもそもこの弾き語りの総称は「第四金曜日わるくない一人弾き語りライブ」というものです。
選曲をいつも変えるのが、
自分に負荷をかけるという意味の他に、
単に自分自身が新鮮味を感じたいという一方で、
どんな時も必ず演奏する曲を何十回何百回とやった場合、
どういう感覚になりどういう光景が見えてくるのだろう、
という実験をしたかったのです。
クラプトンは「レイラ」を、石川さゆりさんは「津軽海峡冬景色」を今どういう感覚で歌っているんだろう?
というレベルからすればまだまだ果てしなく遠いわけですが、
どうであれ私自身、人前でひとつの歌を100回歌った例はもちろんありません。
100回目の「わるくない」、ぜひ聴きに来てください。

※この第四金曜日の弾き語りというものは、お店が閉まった夜8時から、
つまり閉店後に店主が一人で勝手に歌っているという形式のもとでやっていますので、
無料なのはもちろんのこと、7時45分以降はオーダーを受けることも出来ません。
また途中の入退出も自由です。

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