文明通信2015年5月号
「世界一のバリスタと世界一のコーヒー美女」
毎年世界バリスタチャンピオンシップという大会が行われています。某缶コーヒーのCMでチャンピオンの人が実際に出ているのをご覧になった方も多いかと思います。では、この大会の去年の世界チャンピオンは、さて誰でしょう?それは、当店の仕入先であります丸山珈琲の井崎英典氏なのです。日本人として初の快挙です。当時まだ24歳という若い彼は、2012,2013もジャパンバリスタチャンピオンシップで優勝(つまり二年連続日本一)していますから、その実力は疑う余地もなく本物です。私がとりわけ彼に感銘を受けたのが、今回の大会に向けて彼はコスタリカのラ・メサ農園のエンリケ・ナヴァロ氏と二人三脚で豆を栽培から手がけたという点です。この大会は簡単に言うと「エスプレッソをベースに、カプチーノ、さらにアレンジメントコーヒーを提供する」ものであり、つまりエスプレッソに使う豆の選定が最初の重要ポイントです。普通であればエスプレッソに適した豆を栽培している農園に決めるというのが常道なのですが、ラ・メサ農園の豆はエスプレッソ用にしては酸が強く、敬遠されがちなはずが、井崎氏はエンリケ氏と土壌、品種、生産処理方法までとことん話し合い、上質なエスプレッソ用の豆を開発するに至りました。井崎氏&エンリケ氏双方の情熱とパートナーシップによる勝利にほかならないと思いました。さて、話は変わりまして、今度は「世界一のコーヒー美女」を競う、「ミスインターナショナル・クイーン・オブ・コーヒー」という大会があります。世界24カ国の美女たちが今年はコロンビアに集い行われたこの大会で見事世界チャンピオンになったのが、内田有理さんという人で、東洋人としても史上初の快挙でした。そしてなんとこの内田有理さんが先日ここ珈琲文明にいらしてくださいました。何故そんなスゴイ人がいきなり当店に来たのかと言いますと、関西にいる私の中学時代の同窓生の友人が彼女と最近知り合いになり、この度彼女が大阪から東京でのイベントに行く際に「それならついでに横浜にある珈琲文明にも寄ってくるといい」と言ってくれたらしく、友人が当店をどれだけ脚色膨らまして良く言ってくれたのかわかりませんが(笑)、ともあれ彼女は本当に来てくれました。大阪在住の彼女にとって横浜はもとより神奈川県に降り立つのも初めてで、しかもこのお店の後はどこにも寄らずすぐ品川のほうに向かったので、未だにこの世界一のコーヒー美女にとって神奈川は六角橋の地しか踏んでいないことになります(笑)。会話をしている中で、その礼儀正しさもさることながら、中長期的なビジョンで自身をしっかり捉えている点に感心しましたし、チャンピオンになった時に流した涙のわけが、歓喜からではなく、インタビューに対して自身の思いを上手く英語で伝えられなかった自分への悔しさからだったという話にはもはや異次元のレベルにいる人のような気がしました。こんな感じで「世界一」にそれとなく接点のある当店(笑)で、「世界一わかりやすい珈琲の本(店内で閲覧可能)」でも読みながら(笑)、風薫る五月にユル~く時間を過ごしていただけたらと思います。赤澤珈琲研究所 代表 赤澤 智