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2026-04-06

文明通信2026年4月号

「近年になってようやくしっくりしてきたこと」

開業してしばらく(10年以上の間)、当店のコーヒーを「美味しい」と言ってもらえた時に私は「嬉しい」「有難い」という気持ちを感じるのはもちろん事実なのですが、心のどこかで「でも自分で豆を買い付けてきたわけでもないしなぁ」「自分で焙煎したわけでもないしなぁ」という部分で、なんというか「心の底からの喜び」には達していないものがありました。
これは私自身が拙著「世界一わかりやすい珈琲の本」の中で「美味しいコーヒーは生豆の質と焙煎で99%決まる」と言っていますように淹れる技術に関してはただ1%の要因でしかない(個人の意見です)ことから、美味しいと思ってもらえているのは「豆のクオリティと焙煎」に対してであり私の実力ではないからそれは「心の底からの喜び」ではないのだなぁという自己分析も出来ていました。
上記「美味しさの条件」等の考えは今も変わらないのですが、ある日気づいたことがあります。
それは当店の生豆及び焙煎の両方手掛けているのは軽井沢の丸山珈琲なのですが、丸山珈琲で出されているコーヒーよりも文明ブレンドのほうが「私には」美味しいということです。
これは爆弾発言でもなく、丸山珈琲への敬意を欠いているわけでも自惚れでもなく、非常にシンプルな話であり、それは「レシピ」が違うからという理由ただひとつであります。
具体的にいいますとそれは「一杯あたりに使用する豆の絶対量の多さ」や「メッシュ(挽き目)の違い」そしてもちろん抽出方法の違い(当店はサイフォン式)などの要因であります。
ですからこれも淹れる人(私)の技術はまるで関係なく、仮に丸山珈琲さんが「同じ豆の分量で同じメッシュで同じ抽出方法(攪拌秒数が同じなど)」で淹れたならばもちろん当店の味や淹れる人間(私)の優越性は完全に無くなります(笑)。
それでも「世界最高グレードの豆を最高の焙煎チームが作ったコーヒー店の味よりも自分の店のコーヒーのほうが(同じ豆で同じ焙煎のものなのに)【私には】美味しい」という事実というのは考えてみると凄いことだなと近年思うようになったのです。
自己満足といってしまえばそれまでですが、当店のコーヒーを「美味しい」と言ってくださる方に対して「私には」どこよりも美味しいと思っているコーヒーを「そのお客さんにとっては」美味しいという共通言語となり合致することが最近ようやく「心の底から嬉しい」と思えるようになったのです。
嗜好品という曖昧な感覚の世界の中で共通認識を持ち来店される方に心の底から感謝します。

珈琲文明 赤澤珈琲研究所 代表 赤澤 智

★芥川賞受賞作家荻野アンナさんによる当店のレポがアップされました!

こちらぜひご覧ください→https://iju-sumu.city.yokohama.lg.jp/tips/2391/
近頃アンナさんの小説を好んで読んでいることもあって「この作者が珈琲文明のことを書いてくれている!」という感慨にふけっている次第です。
特に→「私は『星の王子さま』を思い出していた。主人公の王子さまは夕焼けが大好きで、住んでいる小さな星で『日の入りを四十四度も見た』ことがある。王子さまは『珈琲文明』の常連間違いなしだ。」←このくだり!これまで当店がいろんな取材で書かれた文章と完全に一線を画している内容にテンションが爆上がりしました。

★「出没アド街ック天国」をご覧いただきありがとうございました!

自分の店だけじゃなく商店街さらには白楽広域の店が紹介され地域の皆さん一緒に盛り上がれる機会は本当に楽しいものです。
放映後しばらくは混雑するかもしれませんがそれも必ず失速しますので(笑)生暖かく見守っていただけたらと思います。

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