文明通信2025年6月号


「自分が開くお店も雑誌とかに取り上げられたらいいなぁ・・・から18年」
20年ほど前、まだ私がお店を開こうと着々と(悶々と?)準備をしていた頃、喫茶店やカフェに関する雑誌を読んでいると、多くの雑誌に何度も出て来るカフェがありました。
代々木(浪人の頃大変お世話になった街です)にあった小規模個人店でしたが、そのお店のサイトで「掲載雑誌一覧」のようなコーナーもあり「東京ウォーカー」や「Hanako」といったメジャー誌の他にも様々な雑誌にそのお店は掲載されており、いったいどうしたらこんなにメディアに取り上げられるんだろう?店主の人が業界にコネがある人なのかな?などという邪推も含めとにかく「自分が開くお店も雑誌とかに取り上げられたらいいなぁ」という想いとその代々木のお店への憧れのようなものを持っていました。
生まれも育ちも横浜ではなく、さらに業界にコネもない私には雑誌掲載などは夢のまた夢なんだろうなぁと凹んでいました。
来るお客さんも少なかったので暇でいろいろと悩む時間も多く、やはりこちらからお金を払って宣伝広告していかないとお店の存在そのものに気づかれずに潰れてしまうのかなと思うものの、内装費にお金をかけ過ぎたこともあり広告宣伝費どころか運転資金もままならない状態だったそんなある日、最初に取材してくれたのが神奈川大学のフリーペーパーでした。
その後、今度は地域のコミュニティタウン誌のようなものが取り上げてくださいました。
取材される有難みや廃業の肌触りを知っている身だったのでどんなに小規模な取材も全身全霊で対応しました。
18年が経ち、これまでに掲載された雑誌や書籍、新聞等をカウンターに並べて写真を撮ってみようとしたところ画面に収まりきらなかったので友人のプロカメラマンに広角レンズで撮ってもらいました。
あの日見た代々木のカフェのサイトにあった「雑誌掲載一覧画像」の単純に画角にして3倍くらいの量になっていたことに私自身が驚きました。
そして18年経った今も取材される有難みも廃業の肌触りも常に私の中に在ります。
珈琲文明は2007年6月16日のサイレントプレオープンから今月で18年になります。
これからも珈琲文明をよろしくお願いします。
珈琲文明 店主 赤澤 智
※写真は当店の「掲載誌一覧画像」。書籍は作家本人から頂戴したものや店主自ら書いた本(笑)も含む。