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2022-06-06

文明通信2022年6月号

「『深煎りは苦い?』の曖昧さにお答えします」

コーヒー豆の焙煎度合には(以下順番にだんだん煎りが深くなっていく)「ライト→シナモン→ミディアム→ハイ→シティ→フルシティ→フレンチ→イタリアン」などがあります。
専門家によるカッピングの際には「ライト、シナモン」等の浅煎りで実施(酸の質をジャッジする為)したりはしますが、カフェや喫茶店で実際に飲まれるコーヒーのほとんどは「ミディアム」以上のものになります。それではどのようなものが「ハイ」でどういうのが「シティ」なのか?といいますと、決まりはありません。つまりそのお店が「これは『フルシティ』です」と言い張ればそれは「フルシティ」なのです(笑)。
珈琲文明のコーヒーはほぼ「中煎り、(まれに)中深煎り、深煎り」の三種ほどしかないので、お客様からよく「深煎りということは苦いですか?」と訊かれます。
抽象的な質問(味覚嗅覚という感覚的なこと)なのでどうしても答えも抽象的になってしまいそうなところ、ここは敢えてズバっと明確にお答えしたいと思います。
皆さんの身近な例を比較対象にしますとスターバックスコーヒーよりも(同じ「深煎り」とした場合)煎りは浅いのが当店の深煎りであります。
またコーヒー通にはたまらない古き良きネルドリップ&点滴方式の「大坊珈琲」さんや「茶亭 羽當」さんでいう深煎りより当店の深煎りはやはり煎りが浅いです。
スペシャルティコーヒー界の中では例えば「堀口珈琲」さんよりも深煎りという範疇の中ではこれまた煎りは浅くなります。
フレンチロースト以降はだんだんと豆がテカテカ黒光りしてきますが、当店の深煎り豆はそこまでのものはありません。
どちらが良い悪いではなく、「文明ブレンドは(深煎りと書いてあるけど)苦いですか?」という問いに一言でわかりやすい回答として「スタバ(の深煎り)より苦くはないです」ということにしています(※スターバックスはラテやカプチーノ等アレンジコーヒー、とりわけミルクとの相性の良いエスプレッソを使用するため極深煎りが非常に適しています)。
ところで、現在珈琲文明のブレンドメニューは4種(定番の「文明」「白楽」の他に季節のブレンド「エバーグリーン」「ディープフォレスト」)がありますが、ちなみにこれらはどういう順番かを申し上げますと(深くなっていく順番に)「白楽」→「エバーグリーン」→「文明」→「ディープフォレスト」の順になります。先ほどローストの名称に決まりはなく曖昧であると申し上げましたが、一般的統計的に鑑み敢えて分類するならば「白楽(ミディアム)」「エバーグリーン(ハイ)」「文明(シティ)」「ディープフォレスト(フルシティ)」といったところでしょうか。
くれぐれもロースト分類はそのお店の主観が入っているため、お店の人の言う事を鵜呑みにしないようにしつつもご自身の中でのベストなローストを「味覚と嗅覚」で判断し、最もお好みのロースト具合のコーヒーを探し出してみてください。

赤澤珈琲研究所 代表 赤澤 智

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