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2021-04-05

文明通信2021年4月号

文明通信2021年4月号表
文明通信2021年4月号裏

「Dan Shari!」 

己に課した今年の最大のミッション、それが断捨離であります。「ダンシャリ」言葉の響きもなんだか小気味良くて、これまでズルズル引き摺って残してきたモノ達と次々お別れを告げています。特にこれまでの無法地帯、アンタッチャブルゾーンだったのが、珈琲文明の「空の上」でした。「空の上」だなんて物は言いようなだけで、つまりは「天井裏」のことです(笑)。客席もない「空の上」には、段ボールや不燃ゴミをはじめ、冷蔵庫や各種備品をはじめとした真面目なモノ(!?)ももちろんあるのですが、中には10年以上捨てずに放置していたヤカンや花瓶や無駄に大きな鉄の籠みたいなもの等もあり、そもそも築70年以上経っている天井裏の梁や木には「何尺何寸」と書かれていたりして歴史的建造物のような様相を呈しているところがだんだんゴミ屋敷のようになっていくのは避けなければと思ってはいたのですが、要不要物混ぜこぜの一時避難所のようになっており、「空の上」なれど優先順位は常に店内清掃業務の「下」にあることが常態化していたので今年に入って少しずつ片付けはじめていきました。初夏を迎える前には終えるというのがマストであり、というのも夏のこの「空の上」は本当に冗談でも何でもなく、死ねます(笑)。オゾン層の無い太陽直撃地獄が珈琲文明の空の上なのです。 
この度、この「空の上断捨離」のみならず、自宅身の回り全てにおいて断捨離を敢行しておりまして、「片付けるは【方を付ける】」とはよく言ったもので、ズルズル引き摺っていたものをカットアウトする切なさと爽快さが入り混じった作業はなかなか味わい深いものです。 
これもよく言われていることですが、「何かを手放すと新たな何かが入ってくる」ということや「空間というのは真空を嫌うので隙間を埋めようとし始める」など、断捨離によって何か新しい素敵なモノが入ってくるかもしれない、という期待も正直あります。 
でも、よく考えてみると、もし新たに良い物事が入ってこなかったとしても、「空間」が出来ることは、物理的にも精神的にも「隙間」や「アソビ」部分が生じるのはそれ自体が素敵で良いことなのではないかなと思います。 
さらにこの先だんだんと短くなっていく先の人生、「本当に必要で本当に大好きなモノ(やヒトも含む)ばかりの中で囲まれて暮らす」という選択はきっと人生をいっそうハッピーにしてくれると思うので嬉々として今日もまたダンダンシャリシャリダンシャリシャリ、段々と心地よさが増していきますように。 

珈琲文明 店主 赤澤 智 

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