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2021-02-05

文明通信2021年2月号

文明通信2021年2月号表
文明通信2021年2月号裏

「ぐあてまらえるいんへるとうのあるとぅろあぎーれぱかまら」 
(※こちらが今月の文明通信の表面のはずでしたが、重要連絡事項の方を表面にしました) 

表題は現在当店でのグラン・クリュ(特級農園)コーヒーの名称であります。 
提供の際にこの長ったらしい呪文のような文言を私が発するのを聞いたお客様は「凄い!よく覚えられますね」と言ってくださいますが、実はこれ全く凄くないんです。 
長いけれど法則性があり、「国名(グアテマラ)農園名(エルインヘルト・ウノ)農園主(アルトゥロアギーレ)品種(パカマラ)」の順番になっているのです。 
「そうは言っても長くて覚えらんないよ」って仰ってくださるかもしれませんが、例えばこの中で「グアテマラ」という中米の国は知っている(聞いたことがある)人は多いと思います。そこから先は確かにコーヒー業界での話になりますが、エルインヘルト農園というのはカップオブエクセレンス(国際品評会)で複数回優勝したことがあるという、一回優勝するだけでも凄いことなのに3回以上優勝している農園なんて全世界見渡しても例は無いほどの常勝農園として有名なのです。そして「パカマラ」というのは品種名でこれもまぁ業界人ならわかっている話です。さて、残ったのは「アルトゥロアギーレ」という農園主の名前です。こればっかりは業界云々関係なく覚えるしかないものですが、例えば「アギーレ」という響きはTVのCMで「アギーレ法律事務所」というフレーズを耳にしたことがあるので私には「お初」な響きではありませんでした。 
つまりはこの文言の中で私は「アルトゥロ」という言葉だけを覚えればよかったのです。 
この一言だけでも私は「アルトゥロ、アルトゥロ・・・」と何度も声に出して覚えようとしたことを白状しますが、ともかく私にとっては単に「アルトゥロ」の暗記だけで済むということです。 
今回いったい何が言いたいのかといいますと、どの世界でも入ったばかりで右も左もわからないうちはそこで目にする耳にするものは雑多で煩雑で、覚えなければならないことが多く、それには多くのエネルギー消費が伴うもので、とりわけ新入社員や見習いの人などはそうでしょう。しかしそれはやがてその業界の中ではポピュラーな名称で時間の問題で自然に覚えてしまえるほどのものかもしれないので、だんだんと覚えることも苦にならなくなるでしょうという新人へのエールと、そしてもうひとつは「なんでこんなことも覚えらんないんだよこの新人は」と嘆く上司がいるかもしれませんが、それはその上司の方が教え方や自身の初心をも忘れてしまった愚かさを露呈しているだけであると言いたいのです。 
全く関係ない話ですが、先日息子(9歳)が何かの「必殺技」の長い名前を勝ち誇ったように言ってきた時に「最終奥義!グアテマラエルインヘルトウノアルトゥロアギーレパカマラ~!」と切り返すと「スゴイ!」と言ってくれました(笑)。 
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