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2021-01-05

文明通信2021年1月号

文明通信2021年1月号表
文明通信2021年1月号裏

「祝!14段目の踊り場に到達」 

珈琲文明は今年の夏で14周年を迎えます。14周年・・・たいそう中途半端な年ですが(笑)実は個人的には10周年の次なる大きな目標の年が14周年だったのです(※詳しくは4年前の1月の文明通信「次なる踊り場は14段目」参照)。これには二つの事例が関与しています。それは・・・ 
① 新卒後従事した職業が「塾の講師」で10年、「塾の教室長」で4年、通算すると14年であり、これまで最長だった「教育業界に身を置いた自身の職務キャリア」に「喫茶店のマスター及び経営者歴」がついに並ぶことになる。 
② 珈琲文明開業に要した公庫からの借金を7年かけて完済したが、事前に借入と同額の自己資金を執念(!?)で貯めたわけで、開業していなかったならばその資金はそのまま貯金で残っていたはず(実態はともかく)なので、開業前のフラットな状態に並ぶのは借金完済と同年(7年)つまり通算14年経って初めて自己資金の同額を自分に戻すことになる※その分そっくり貯金出来ているわけがないのは言うまでもありません(笑)。 

つまり14年経ってようやく私は人生最長職歴が「喫茶店経営」と言えて、かつ14年経ってようやく本当の意味での利益を生み出せる立場になったと言えるのです。 
少し小難しい話をしますが、調べによると飲食業界の平均投資回収率(ROI)は15.3%で回収期間が6.5年のところ、珈琲文明はその倍以上の14年という歳月を要しました。 
丑年の今年、まさに「牛歩」により14段目の踊り場に到達した珈琲文明を本年もよろしくお願いします。 

珈琲文明店主 赤澤 智 

おじゃ丸の他店お邪魔します
「Bar Laddie」

もう10年以上前、それこそ干支が一周したくらい前の話です。
珈琲文明がまだ出来て間もない頃、カウンターに座り「近々ウィスキーのバーを開くんです」と言うお客さんがいました。その後無事開店となり、やがてそのお店と珈琲文明との共通のお客さんの口から「横浜でも有数のモルトバーなんですよ」というクチコミを受けた時は「ラディさん凄い!」と独り興奮したものです。
白楽駅降りて六角橋商店街の逆側、線路の向こう、妙蓮寺方面にほんの数秒歩くとあるのがBar Laddieです。かく言う私が初めてラディさんを訪れたのはつい先日のことでして、ずっと行こう行こうと思っていながら独りで外でお酒を飲む習慣がない私は日々の忙しさにかまけて(←て、このフレーズ確か「葡萄とキツネ」さんの紹介する時も使った気がします)、気がつけば10年以上経っていました。
そんな折、二号店である「麦」さん(※こちらはウィスキースタンドバー)が我が六角橋商店街にオープンしたり、更にラディさんのかなりの常連さんと親しくなったり、共通の友人が被っていたりと完全に機は熟し、それこそまさに12年モノくらいの醸造(!?)の果てについにこの度、スタンドバー「麦」さんからの「Bar Laddie」というハシゴ酒を敢行しました。
居酒屋で飲んだハイボールで美味しいと思ったことがなかったのが「麦」さんのところは間違いなく美味しかったし、「Bar Laddie」さんでは私が唯一少しだけ詳しくてしばしば飲むのがバーボンだという話からバーボンの名酒を島田マスターがセレクトしてくださりそれはもう悶絶するほど美味でした。
例えばホッピーにしても居酒屋で飲んで美味しいと思ったことはないが、野毛にある「ホッピー仙人」のそれはしっかりと美味しかったという現象にもいえるのですが、素材のそれぞれ(ホッピー&金宮焼酎)は市販で手に入るもので、シェフや板前さんのようにその素材に何かのソースやスパイス、調味料で隠し味をつけるでもないものが紛れもなく美味しいというのは不思議なもので、思えばコーヒーだってそうだなぁと思いつつ、でも例えば「ホッピー仙人」のはホッピーも焼酎もグラスも全てがキンキン(「3キン」というらしい)に冷えていて、焼酎を入れる際の分量も毎回しっかり量っているように、いくつかある凡事を毎回確実に徹底しているということは言えて、そういえば「麦」さんのハイボールもしっかり「3キン」だったし、「Bar Laddie」さんでは例えばロックの氷が感動的なほど美しくこれぞ純氷!という主役のモルトの邪魔を一切しない芸術品とも呼べるもので、「神は細部に宿る」と言いますが私はこの時「神は【凡事】に宿る」と感じました。

ある日の珈琲文明でのことです。赤ちゃんを抱っこした女性のお客様が窓際に座っていると突然赤ちゃんが物凄く何かに喜び興奮し始めました。窓を見るとそこには島田マスターが入って来るところでした。その女性は島田マスターの奥様でした。私と同様、島田さんも結構歳が行ってから赤ちゃんがやってきた家であります。パパの姿を見て大喜びしている赤ちゃんを見て私はちょっと泣きそうになりました。
そして10年以上前のまだ生まれたばかりの珈琲文明と生まれる前のBar Laddieの店主同士が夢を語り合うでもなく、そう、お互いにそもそもがまだ何も起こってもいない故の希望と不安と覚悟と開き直り(?)等、様々な感情がごちゃごちゃにブレンドされたあの日の私と島田さんが珈琲文明のカウンターで語り合ったあのシーンを思い起こすとしみじみと感慨深い気持ちがこみ上げてきました。
これからもBar Laddieと珈琲文明はお互いに更なる醸造を重ね、味わい深くなっていけたらいいなぁと切に思いました。
Bar Laddieいいお店です。白楽駅降りて一瞬で着くのでぜひ一度行ってみてください。
http://bar-laddie.com/

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