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2020-12-05

文明通信2020年12月号

文明通信2020年12月号表
文明通信2020年12月号裏

「終わっていなかった。続きが残ってた。」

「本当に凄い一年だった」なんていうのはおそらく地球上全人類が思っているはずですが、それとはまた別のことで、今年は私個人の中でも一生忘れられない出来事がありました。
まずは何といっても書籍の出版がその一つであり、自分がこれまでに心血注いできた音楽、学習塾の運営、そしてカフェ経営の三本柱が一本の柱にまとまったみたいなことになってこれまでの人生の集結と言っても良いような大変メモリアルな出来事でした。
さて、この他に実はもう一つ個人的に本当に重要な出来事がありました。その前にまず去年の夏に実施した私のバンド「コブラツイスト&シャウト25周年記念ワンマンライブ」で自覚した「認めざるを得ない悲しい結果」の話から先にします。
近年、自分のライブ(弾き語りではないロックバンドの音圧の中で歌うライブ)で最後の曲まで喉が持たず、終盤になると明らかにヴォーカルのクオリティが下がっているのを感じていた私は、ましてや通常のライブの倍(約一時間半)の演奏時間があるワンマンライブには嫌な予感しかなく、どうにかしなきゃという一心で、ライブの結構前から日々の発声練習や肉体トレーニングを課し、ライブ当日を迎えました。最初から飛ばし過ぎないようにある程度冷静にペース配分も気にしながらワンマンライブは進みました。
それでも最後の曲及びアンコールでの自分の歌は散々なものでした。
健康管理にも気を付けていたし体調も万全でした。つまり、一切の言い訳が全て潰された状態での結果がそれでした。これはとても残念なことでありながら、しかしやれることは全てやった結果ゆえ悔いもなく、いわゆるこれが限界なのかなというある意味では清々しいほどの諦めを認めました。スポーツ選手が「自分にしかわからない技術の衰え」を理由に引退したりしますが、私の場合はこれで音楽をやめようとまでは思わないまでも、とにかく自分の歌唱力のピークは過ぎたことは認めつつ、無念ではあれどライブ活動はどうにか続けていきたいなぁ、と思っていました。
そんな中、ある日「ミックスボイス」「ミドルボイス」といった発声法の存在を知りました。
なんとなく聞いたことはあったのですが、それはバンドサウンドをバックに歌うのではないバラード系歌手がするソフトな歌唱法で自分には無縁だと思っていました。
ところが私がカッコイイと思うブルーノマーズやONE OK ROCKのTAKAなど激しいサウンドの中でも音圧に埋もれないヴォーカリスト達が皆一様にこの「ミックスボイス」を身に着けている(実際はもっと細分化されて「ベルティングボイス」などと呼ばれていますが)ことを知り、まずは寝食を忘れるほどにYOUTUBEで「ミックスボイス指導動画」を見まくりました(昔なら有料で直接指導を受けないと得られない情報が満載で本当に良い時代になったものです)。私はかつて19歳の時に一年間だけボーカルスクールに通ったことはあるものの、やはりそれは昭和の発声法で(それはそれで大変貴重な礎ではあります)、豪速球ストレート一本勝負のピッチャーという仕上がりを目指したのものでした。
今回いろんな指導動画を見て実際に発声を繰り返し、「おそらくこういうことだろう」という手ごたえ(喉ごたえ?)を掴みました。こんなにちゃんと歌の練習をしたのも長い音楽人生の中で初めてのことでした。ただひたすら発声練習だけをするのであればきっと続かなかったと思いますが、そんな時に現代の上質な若者たちのバンド(ワンオク、ヒゲダン、King Gnu等)の曲がどれもこれも素敵で実際に「この曲を歌ってみたい!」という衝動に駆られ発声練習だけじゃなく曲として実践として歌っていくことで飽きずに続けられたのだなと思っています。結果的に齢53にしてまさかの高音域が広がり、さらに長時間歌っても声の消耗は少なくなりました。
とてもためになった指導方法を動画配信しているシンガーソングライターKayさんのこの箴言が発声練習の最も重要な意義を射抜いていると思うので引用させていただきます→
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「歌を極め、自分の歌い方が見つかれば見つかるほど音域や出し方にこだわらなくなり心地よい声色を優先する。ただ、普段使わない音域・声色だとしても高音練習やマッスルな練習は絶対必要。声のハリ・スタミナに大きく関わってるからね。強いエネルギーを使う練習をしなくなったら 色々狭まるのだ。喉も歌声も変化するものやから、鍛錬しながら音域が変わったり歌い方が変わるのはその人の風格や旨みとなって絶対いつまでも素敵なのよ!
でも鍛錬しなかったことによって声に『衰退』を感じてしまったら それは本当の意味の『老化』アートにも『老化』は良くない」
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諦め、終わったと思っていたものが終わっていなかった。
本の出版も財産であると同時に今年の突然の発声&実践訓練は我が生涯の無形文化財と言えます。
私が作詞作曲を始めてから今年でちょうど40年になります。
音楽があると人生は楽しい。その音楽の表現範囲が格段に広がり、来年はさらに自由度が増し、つまりはさらに人生が楽しくなりそうです。

珈琲文明 店主 赤澤 智 
コブラツイスト&シャウト ヴォーカル あかざわ さとる

樋口了一×赤澤智 オンラインZOOM対談12/9(水)無料開催のお知らせ

「水曜どうでしょう」の主題歌やヒット曲「手紙」、さらにSMAP、石川さゆり、その他多くのアーティストへの楽曲提供で活躍するシンガーソングライター樋口了一氏と同じ大学の同じ軽音楽部の後輩だった私が熊本と横浜を結び色んな話を喋り倒すオンライン対談「珈琲文明は水曜定休日でしょう(仮題)」を行います。
どなたでも無料で視聴できますのでぜひご覧ください。
肝心かなめのZOOMアドレスはこちらになります!
https://us02web.zoom.us/j/89185393048 ウェビナーID:891 8539 3048
日時 12/9(水)21時より(約1時間以上2時間以内といったユルい制約でいきます)
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この企画の趣旨としては拙著「人生に行き詰った僕は、喫茶店で答えを見つけた」についての樋口さんの感想や、樋口さんがこれまでに「人生に行き詰った」時の話(?)等を話してもらうという名目ではあるのですが、ぶっちゃけどんどん脱線して完全フリートークの流れに身を任せていきたいと思います(笑)。
この企画は、拙著出版販促スタッフさんの発案により実現するわけですが、私にはずっとひとつの目標がありました。
それは、「樋口さんにちゃんとギャラが支払われる仕事として共演する」ことです。
いわゆる芸能界にいる知人の中で個人的に最も身近な存在なのが樋口さんであり、彼はこの度の拙著出版の際にはすぐに自身のTwitter(数万人のフォロワーさんがいる)やラジオ番組でも私の本を(何の見返りもなく)ガンガン宣伝してくれました。
今回、出版販促企画でこの案が出た時、もちろん私は狂喜乱舞しましたが、そこにかねてからの目標である「仕事として共演」も達成できるのはまさに感無量であります。
樋口さんとはこのアポを取るために久しぶりに話したのですが、積もる話がてんこ盛り過ぎて、いろいろ面白い話が出かけては「おいしい話は12/9にとっときましょう」となったので、久々の会話もお預け状態にあり、話したいことはもうこぼれ落ちんばかりです。
12/9はこうしたリミッター全解除、ノーガードのトーク炸裂でいきたいと思います。
こちらは勝手に脱線暴走してるので、皆様はどうか気軽に、一杯呑みながらユル~くご覧ください。

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