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2020-10-05

文明通信2020年10月号

文明通信2020年10月号表
文明通信2020年10月号裏

「コーヒー豆を粉にしてしまった場合の賞味期限はどれくらい?」

コーヒー豆を粉にしたらどれくらいで飲まなければならないか?
一週間?三日?いやきっとその日のうちがいいから一日?いやいやここは一時間以内?
私の考えは「【秒で】淹れて飲みましょう」です。
挽いた後は「1【分】以上放置はしないように」したいものです。
豆の状態であれば焙煎後一週間ほどは美味しく飲めます。
これが粉になった瞬間に「秒速で劣化が始まる」理由を述べます。
一粒の豆を楕円形ではなくここでは便宜上一粒の正方形と考えてみましょう。
空気に触れる面は6つ(5つでもいいですが)しかないのに、粉にした瞬間にそれは一気に
数千個の面が触れることになります(※イラスト参照)。
~イラスト~
空気に触れることで酸化し、またコーヒー豆の中に入って溜まっていた香り成分もカッティングされることで一気に大放出します。
これはもう科学的数学的に観ても間違いないことなのですが私のように数学が苦手な人はとりあえず、肉でも魚でもいいのですが、料理をする直前に素材を包丁で捌いたもののほうが断然美味しいし出来ればそうやって食べたいものだというそのイメージで十分です。
例えばドラマ「孤独のグルメ」でご一緒した「キッチン友」さん(※ご一緒なんておこがましい、あくまでメイン舞台が「キッチン友」さんで珈琲文明は軽いジャブ程度に出ました)の「スペシャル友風焼き」はオーダーが入ってから玉ねぎを切ります。
あらかじめ大量に切っておいても余裕でその日のうちに使い切るくらいのオーダーは入るはずなのに、どんなに混雑しようが時間がかかろうがその都度その都度玉ねぎを切ってます。やはりどうせ食べるならそういうお店で食べたいですよね。
ご家庭でレギュラーコーヒーを飲まれている方はぜひ豆のまま購入し、飲む直前に挽いて、【秒で】淹れてみてください。そのためのコーヒーミルへの投資を惜しまないでください。ただし、もし「焙煎仕立て」のものをすぐその場で飲まなければならない状況(あまりないかもしれませんが)になった場合、豆の中にまだガスが大量にあり過ぎてそれが抽出の妨げにもなります(ドリップでの「ムラし」というのはこのガスを抜いてあげるために行うものです)のでボンヤリした味になります。なので、そのような状況の場合のみ逆転の発想でミルで挽いて少しだけ置いて(といっても数分で充分です)から淹れるというのが裏技でありますがそのような機会は珍しいでしょうし、そもそも焙煎仕立ての豆を買ってきてもその日にすぐ飲まなければ良いだけのことなので、とにかく「飲む直前に挽いて【秒で】淹れる」を徹底してみてください。

赤澤珈琲研究所 代表 赤澤 智

おじゃ丸のお邪魔します「葡萄とキツネ」

我が六角橋商店街には素敵で味わい深いお店がたくさんあります。
地元&共同体&仲間意識から贔屓目に見ていたりすることもきっとあるとは思いますが、
今回、そういった贔屓目は一切抜きにして、素晴らしいお店をご紹介します。
「日本ワインとセイボリータルトの店【葡萄とキツネ】」さんです。
曲がりなりにも「カフェ開業メソッド」を謳い「カフェラボ主任講師」などをしている身で、
「必ず失敗する店舗作り」に関してはかなりの高確率で当てることができますが、
「必ず成功する~」はやはり難しいということやまたカフェラボが「必ず成功する~」を標榜するような無責任で胡散臭い組織ではないという自負だけはあるつもりです。
そんなわけで「必ず成功する店」かどうかは別として、「どストライクの店」というのはあるものでして、それがこの「葡萄とキツネ」さんなのです。
個人的な好みもそうですがもっと客観的かつ厳格に「開業メソッド的視点」においても私の考えにズバーンとはまっているお店です。内装の雰囲気の他に、国産ワインに特化してメニューを絞っているところや、「セイボリータルト(甘くないタルト)」というキラーメニューがあることなど、「個人店かくあるべし」の理想的なお店といえます。
元来「独りで外でお酒を飲む」という習慣が私にない(もちろん気の合う仲間らとの飲み会は大好きですが)ため近くにありつつもなかなか行けずに4年近く経ちましたがこの度ワインにとても詳しい知人とついに初来店を果たしました。
店主のジローさんとは歳もひとつしか違わない同年代、脱サラを経て四十を超えてからの開業等共通点も多く会話もひたすらに盛り上がりました。
実はこの時よりさかのぼること数年前にジローさんのお母様が珈琲文明に来店されたことがありました。つまり私は先にお母さまとお話をしたことになるのですが、その時私は珈琲文明創業当初のことを思い出しました。珈琲文明は敢えて「サイレントオープン(一般的なプレオープンとは異なり、友人知人親戚に至るまで徹底的にオープンの日を告げず、シークレットで三週間ほど営業しました)」という手法をとったこともあり、当初それはそれは誰も来なかったものでして、そんな中忘れもしない開業確か二日目のことでした。私の母が「これ『アッチコッチ布巾』って言っていろんなものがすぐ綺麗になる布巾で便利だから届けにきた」と言ってそのためだけに八王子からやってきたことを思い出しました。さらに店の前を通り過ぎる人に「お店に人が入っていることを知らしめる」ために窓際の丸テーブルの真ん中の席に座ってコーヒーを飲んでいったことなど、いくつになっても子の親は親なんだなぁということを思い目頭が熱くなったものですが、ジローさんのお母様が私に「セイボリータルト」の説明などを明快にしてくださった時にも同様にやはりつい目頭が熱くなったのを覚えています。
「葡萄とキツネ」さんはこの秋でめでたく4周年を迎えます。あまりに好きなお店というのは隠れ家的に内緒にしておきたい気持ちを抑え、この記事のネット版(Facebookページやインスタやブログ等)では写真もふんだんに掲載しておきます(二階席なんてそれこそ隠れ家チックでカッコイイ)のでぜひそちらで店内ショットもご覧ください。

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