文明通信2018年9月号

「初の映画の舞台の話は儚く散りましたが・・・」

これまでのメディア各種媒体への露出のいっぽうで、話は来たもののボツになった件というのもかなりの数にのぼります。去年のディーン・フジオカさんと武井咲さん主演のドラマ「今からあなたを脅迫します」のシーンに使われそうになってボツになった話は去年の今頃でした。この夏舞い込んだ話はなんとついに映画の話でした。それは「東京喰種（これで【とうきょうぐーる】と読むそうです）Ⅱ」という現在ヤングジャンプ掲載中の人気漫画の実写映画で来年の秋公開予定のものです。主人公が普段働いている場所が喫茶店という設定なのでもし本当に珈琲文明が舞台となった場合、おそらく大がかりなロケと共に映画館の大きなスクリーンに珈琲文明が映るかもしれないという淡い期待もしました。これまでに当店は自主制作映画には4本（おそらく）使われたことがありますが、全国松竹系ロードショーというレベルは初めてのことだったので想像するとワクワクしました。かつての「孤独のグルメ」や「ゴン中山さん出演の某銀行CM」の時も思いましたが、
自分の店なのにそうではないような、自分が作った歌を上質なアーティストがカバーしてくれたような不思議なそしてもちろんこのうえない光栄だったので、楽しみにしておりましたが、結果は残念ながら他のお店が使われることになりました。
さて、今回ここで一番述べたいことは「映画化ならず残念」ということではありません。
この映画の制作スタッフのかたからの最初の打診メールから結果連絡に至るまでの全てがとても丁寧で誠実なものだったのです。特に素晴らしいなと感じたのが選定結果がなかなか決まらない状態が続いている時に「ただ今選考が大変難航しておりますのでもうしばらくお待ちください」という進捗、経過報告の連絡もくださったことです。
ちょうど別件でこの夏とあるテレビ制作スタッフのかたから電話で「8/14（火）の21時過ぎにスタジオに来ていただくことは可能でしょうか？」という、番組名と番組内容は省きますが数回電話のやりとりをしたあとでの上記のような質問があり、こちらは「営業後に物凄く急いで行けばなんとかなります」という回答をしました。ところがこの番組制作会社からの電話はこれ以降かかってくることはありませんでした。こちらとしては一応スケジュールを空けた状態でしばらく日々を過ごし8/14前日、いや当日までなんだかモヤモヤした状態がつづきました。ちょうどそんなことがあったものですから余計にこの映画スタッフの結果連絡のみならず「経過報告連絡」は身に染みました。「東京喰種」見てみたくなりました。さて、映画の舞台になる話はなくなりましたが誠意ある対応が身に染みたという話で終わらせず、実は今回「誠意ある対応もあり、なおかつめでたく実を結んだ」という話もあるので紹介させてください。それはこの度発売となりました「日本全国しあわせ喫茶＆カフェ探訪」（まるやまひとみ著）の話ですがそれは裏面の「今月の逸品（一品）」コーナーにてじっくり紹介しますのでいますぐ裏面へGO!

赤澤珈琲研究所　代表　赤澤　智

今月の逸品（一品）「日本全国しあわせ喫茶＆カフェ探訪」（まるやまひとみ著）

表面では映画制作スタッフの方から結果の前に経過報告まで頂戴したことに誠意を感じたという話をしましたが、それをいうならこの本、この人、まるやまひとみさんこそが誠意の塊のような人でした。只今、河出書房新社より絶賛発売中の「日本全国しあわせ喫茶＆カフェ探訪」という書籍に珈琲文明が1ページまるっと載っています。
この本は一枚も写真を使わず、すべてがイラストレーターまるやまひとみさんの絵と文章で構成されいるものです。日本全国その数なんと108件のお店が丁寧に描かれています。
取材はじっくりといろいろな話に及び、その日のうちに取材お礼のメールも来ました。
しばらくして編集構成が難航中という「進捗、経過の報告」も頂戴しました。
取材後日に単なるプライベートで来店してくださったこともありました。
送られてきた出来上がった見本誌にはまるやまさん直筆のお手紙も同封されており、
本を開くとそれはそれはThis is喫茶店！の数々と各店舗の商品が所狭しとディティールまでこだわり丁寧に描かれており、さらに溢れ出る彼女による喫茶愛の文章。
私が取材を含めやりとりした様々な工程を他のお店とも計108回やっていたのかと思うともはや気が遠くなります。最初に受けたオファーから一年くらいたっているのでそれこそ膨大な時間と労力をこの一冊に注いでいることも見て取れます。これで1500円はあまりに安すぎです。当店でも閲覧可能ですのでぜひご一読＆一見、そしてご購入を！
それにしてもまるやまひとみさん、本書の中で平成生まれと言ってるので少なくとも二十代なわけですが、お店の選定がシブ過ぎます(笑)最高です。