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2014-08-05

文明通信2014年8月号

文明通信2014年8月号表
文明通信2014年8月号裏

「ようするにコーヒーなんてもんは・・・」

7年前の創業当初、簡単なアンケート(「コーヒーにミルクは入れますか?」「タバコは吸いますか?」等)にご協力していただいた方々に無料配布し、その後有料ながらも完売した拙著「世界一わかりやすい珈琲の本」というものがあります(※現在は店内またはホームページ上で閲覧可能です)。さて、今回はこの本に対する「セルフ突っ込み」のようなことをしてみたいと思います。本の中で私は「豆は深煎りにすればするほどカフェインが死んでいくんで、目を覚ましたいなら『浅煎り』がオススメ」と書きました。まぁウソではないのですが、これに関しまして今回はもう一歩踏み込んでみようと思います。そもそも「浅煎り」と「深煎り」におけるローストの際の温度というものは、実はせいぜい10℃前後。かなり幅が広くても20℃あるかどうかといったところなのです。この温度レベルでのカフェインの増減はかなり微妙な差と言えると思います。また、豆は深く煎るにつれ水分が蒸発し、豆の重量は減ります。つまり「同じ重さ同士の浅煎りと深煎りの豆」を比べた場合、単純に考えて浅煎りの豆のほうが数は少なくなります。余談になりますが、もともとアメリカでコーヒーが取引される際の単位は容積ではなく、重量であったため、少ない数の豆で稼げる(笑)、浅煎りの豆のほうが経済的という考え故にあまり深く煎らないようにしていたといい、そしてこれがいわゆる「アメリカンコーヒー」の原点であるという話もあります。話を戻しますが、もしも「同じ量同士」で比べた場合、深煎りのほうが豆の数は多いわけですからその分、カフェインも多くなるので、判定は大変難しくなります。総括しますと、「たとえば同じ10粒の豆同士(重さではなく)でローストの違いによるカフェイン含有量の違いを比べてみたならば、わずかに浅煎りの豆のほうがカフェインが多い」ということは言えるということです。その程度であるということです。ここで精神的心理的な部分、つまり、深煎りで苦いコーヒーのほうがガツンときて眠気が覚めるような気がする、というこの考えもやはり重要であり、脳がそう判断すればやはり覚醒することでしょう。つまりここで今回何が言いたいのかと申しますと、「コーヒー同士によるカフェインの違いは極小差である(※カフェインレス及びディカフェはまた話が別です)」ということと、もう一つ、この本で書いておきながら今もやはり何一つ変わっていない私の強い考えがあります。それは・・・「ようするにウマけりゃいいのよコーヒーなんて」

赤澤珈琲研究所 代表 赤澤 智

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